『虐殺器官』伊藤計劃

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
早川書房
売り上げランキング: 1335

ひさしぶりに、というよりはじめてSF小説を読んだ。読み切った。これまではSFは途中で挫折してきたから……。

感想を言ってしまえば、スゲーおもしろかった! とても魅了された。引き込まれた。まず、この作者の知識量がすごかった。軍事から文学から哲学から歴史からとその守備範囲も広い。SF小説家ってこんなに賢いのかぁ……。

小説内のテクノロジーが明日にでも実現できそうだと感じるのは、人類のテクノロジーがすでに頭打ちのレベルまできてるからなのかな?

「言語」がこの小説の重要なテーマになっているのだが、自分も最近言語に興味をもちはじめたので「シンクロしてるな」とおもった。プログラミング言語が興味の発端で、いまでは実際の言語(英語とか)にも興味がある。言語って文法とか非常にロジカルなのに、同時にとても柔軟に変化できるところがおもしろいなぁ、とおもう今日この頃。

そしてなによりこの作家の文章がいい。描写。比喩。これもいわゆる「村上春樹以後」の世代だから? 読んでて「SF界の村上春樹か」と思った。SF小説の文章ってなんとなくつまらない印象があるから。これは私の偏見か( ̄▽ ̄;A フキフキ。

残念ながらこの小説を書いた伊藤計劃はすでに亡くなっている。小説家としての活動期間も短く、その作品は三冊とすこし。偉大な才能なのに惜しいことです。

個人的な収穫は、いままで気にも止めてなかったSFに興味が出てきたことですな。

0 件のコメント:

コメントを投稿