転がらない

新宿から、市ヶ谷、九段下、神保町、お茶の水、秋葉原まで歩く。ただ黙々と歩く。怖いからムカつくんだ。

『R.P.G.』の話が転がらない。クライマックスは固まっているのにそこに辿り着くまでの話が全然転がらない。はじめは、東京を舞台にしたバンドマンの話を、と思ったが、これまた転がらず、主人公二人の出会いを描こうと。それが『R.P.G.』 なわけだが。

ネクラで幽霊並みの存在感しかないサクラコと、ヤンキーで周りから疎まれているアンジーというマイノリティーで孤独な二人がひょんなことからバンドを組むことになり、文化祭でライブジャックを敢行する、という青春モノ。

そもそもこの話を思いついた経緯は、「ロック」というもの、特に「パンク」いうものは社会的弱者たちの「最後の逃げ場」であるというオレの思想というか哲学というか、そんな想いがあったため。世界からこき使われ搾取され小突き回されてる者たちだけに許された特別な居場所。サクラコとアンジーにとってもバンドが徐々に自分たちの居場所になっていく。序盤にその過程を描く。サクラコが秘かに行っていた作詞作曲の活動。アンジーもドラムという楽器にどんどん惹かれていく。そして二人で演奏することに惹かれていく。そこらへんを描かないと。

サクラコとアンジーは最後に「勝つ」必要はない。むしろ「負け」なくらいでいい。どこまでも「マジョリティー」には入れない人間でなければならない。最初から最後まで一貫して周りから相手にされない。ライブシーンの一瞬だけ爆発する。

これは『イッチとミライ』と同じテーマも含まれている。「一方通行の想いが成就する」というカタルシス。『R.P.G.』の場合はアンジーの片想い(?)がサクラコのバリアを破る、となるか。たとえば、アンジーは文化祭ライブの参加を薦めるがサクラコは頑にそれを拒否する、とか。それはサクラコの過去のトラウマから、とか。

0 件のコメント:

コメントを投稿