はじめての唯識

唯識。またの名を「瑜伽行唯識学派」とか「瑜伽行派」などとよばれたりする。「中観派」と並ぶ大乗仏教哲学の二大学派のうちのひとつ。起源はもちろんインド。両学派とも「空」の思想を根本にしているので対立するものではない。中観派の土台の上に唯識派が乗っかっているイメージか?

唯識を簡単に言ってしまえば「唯(ただ)識(し)ることのみがある」という哲学で、「『私』の見ている世界は『私』が感じたり思考したりしてのみ認識できる。つまり、世界のすべては『私』自身がつくりだしたもの」みたいな思想。

「識」は八種類あり、五識(五感)と意識、無意識の領域にある二つの心の末那識(まなしき)と阿頼耶識(あらやしき)がある。

  • 五識(眼識、耳識、鼻識、舌識、身識)……五つの感覚。「耳なら音」「舌なら味」というふうに、それぞれ固有の対象を感じる。
  • 意識……五識を統合し、「言葉」を使って対象を概念的に把握する。
  • 末那識……「我」という心。
  • 阿頼耶識……すべてのものを生みだす心。五識も意識も末那識も外界もすべて阿頼耶識が生みだしたもの。

これで想起したのが量子力学の「不確定性原理」だった。「不確定性原理」をものすごく簡単に言ってしまえば、「観測者が宇宙を観測してはじめて、宇宙が『存在してるか?』『してないか?』が確定する」みたいなカンジ。これも極論すれば「観測者が宇宙を創造している」ということになるらしい。いわゆる「コペンハーゲン解釈」。

人間の考えることは所詮に似てしまうものなのね。ああ、物理学だって宗教みたいなもんか。1,700年前に数学ではなくヨーガ(瑜伽)による深い自己観察によって、似たような結論に達した唯識派に驚愕! さらにフロイト以前に無意識の存在を認識していた仏教徒たちに敬意を!

さてさて、その唯識の主張は、私たちが外界に存在していると思っているモノは「私の心(阿頼耶識)」が生みだした虚像・仮象であり、客観的な存在というものはない、というもの。そして、とどのつまり、その阿頼耶識でさえ現象であり実体はないと説く。すべては無常であり「空」である、と。

仏教独特のこの「空」の思想は、ショーペンハウアーの「意志と表象としての世界」的イデアや、老荘思想の「道(タオ)」などを飛び越えて、「存在」というもののさらなる深淵をとらえていると思わせる……う〜む。

で、仏教ではこの唯識や「空」の理論を知識として「知って」るだけじゃダメで、その感覚を体感し体得することを目指している。それを「悟り」という。その実践法が「ヨーガ(瑜伽)」、日本でいうところの「禅」なのである。だから「瑜伽行唯識学派」と呼ばれてるわけですね。

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なつかしのファミコン時代のゲーム

近頃、無性にファミコン時代のゲームがやりたい。現代のゲームと真逆の、あのシンプルで不親切な設定のゲームがやりたいのだ! そして、ファミコンのエミュレータ機を買おうか本気で悩んでる。。。

そんなこんなでYouTubeでファミコン・ゲームの動画ばかり見ている。てなわけで。。。

ロードランナー


ポートピア連続殺人事件


さんまの名探偵

『川の底からこんにちは』



2010年日本。

東京でなにもかも諦めて暮らしている佐和子。口癖は「しかたない」。そんなとき実家の父が倒れたとの連絡が。しぶしぶ田舎に帰り家業の「しじみパック工場」を継ぐことになった。ダメダメな恋人とその連れ子をともなって。

だいたいの映画ははじめの10分くらいで面白いかつまらないか判断できるが、この映画は序盤まで面白いのかつまらないのか判断できずちょっぴり不安になった。

が、徐々に物語のテンションが上がっていき後半あたりからはガラッとテイストが変わる。

「中の下」「どうせつまらない人間」といったネガが「だから頑張るしかない!」というポジに反転する気持ちいい映画だった。

主演の満島ひかりの演技が物語とシンクロして無表情から感情爆発へと変化していくのも面白い!

ちなみに、この映画をきっかけに満島ひかりと石井裕也監督は結婚したらしいッス。

『トイレット』



2011年日本・カナダ作品。『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督。

物語はママのお葬式の場面からはじまる。残された三人兄妹、猫のセンセー、そして、ばーちゃん。

火事でアパートにいられなくなったロボットプラモ・オタクのレイは、ママの残した家に転がりこみ、パニック障害でひきこもりの兄のモーリーと生意気な妹のリサと日本人で英語の通じない「ばーちゃん」との同居がはじまる。

ばーちゃんは毎朝トイレから出てくるたびに深い深いため息をつく。レイはそれが気になってしかたない。そして、そのため息の理由は……。

それぞれの問題を抱えたレイ、モーリー、リサが「ばーちゃん」との生活で徐々に変わっていく、て話なんだが……にしても、荻上直子監督のあの独特の色彩感覚はなんなんでしょ? あの独特の時間スピードはなんなんでしょ? あの妙においしそうな料理やビールはなんなんでしょ? ピースな気持ちになりますねホント。

しかし、はずかしながら今作が公開したの気が付かなかったんだが……。いつやったんだろう?

『マイ・ブラザー』



2009年アメリカ作品(原題"Brothers")。じつは2004年のデンマーク作品のハリウッド・リメイクなんだそうな(『ある愛の風景』)。

堅実な軍人の兄と刑務所から出所したばかりの弟。真逆の兄弟。兄の美しい妻と二人の娘たち。

軍人の兄はアフガニスタンに出兵し撃墜される。その訃報が妻と弟のもとに届く。二人は兄の死を悲しみ、お互いを癒すために惹かれあっていく。

が、そこに兄が生還したとの報告が! しかし戦地での惨い体験ため人が変わってしまった兄。妻や娘たちにさえ厳しく当たるようになり、さらに妻と弟の関係も疑うようになる。

ともかく兄サム役のトビー・マグワイア(Tobey Maguire)のキレっぷりが凄まじい! 弟トミー役のジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaa)と妻グレース役のナタリー・ポートマン(Natalie Portman)もいいんだが……。

あと長女イザベル役の子の内心父親に恐怖してるんだけど、それに耐えつつ涙プルプルな演技がすごかった!