『ラストキング・オブ・スコットランド』



2006年イギリス作品。
1970年代に君臨したウガンダの独裁者アミンについての物語。史実を元につくられたが主人公のスコットランド人医師ニコラスは架空の人物らしい。

人を魅了する才能を持つアミン将軍はクーデターにより大統領になる。ウガンダ国民は彼に心酔し熱狂する。スコットランドから来た医師ニコラスはアミンに気に入られ、彼の右腕となる。

権力と富を手に入れたアミンは徐々に疑心暗鬼になり誰も信じられなくなり30万人と言われる虐殺・粛正を行う。これは史実。

しかし主人公のニコラスがチャラい! そのチャラさが後に身の破滅を招くことになるわけだが……。そして結構残酷なシーンもあるのでお気をつけを……。

アミン役のフォレスト・ウィテカー(Forest Whitaker)は大好きな俳優。映画「スモーク」を観てファンになった。日本じゃあまり話題にならなかったこの映画でフォレスト・ウィテカーはゴールデングローブとアカデミーの両方で主演男優賞を受賞したそうだ。

ラストキング・オブ・スコットランド [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2007-10-05)
売り上げランキング: 53735

『ローラーガールズ・ダイアリー』



2009年アメリカ作品。ドリュー・バリモア(Drew Barrymore)の長編初監督作品。

テキサス州の田舎町で退屈な日常を過ごしている17歳の女子高生ブリスが、隣街のオースティン(ちょい都会)で開催されているローラーゲーム(Roller Derby)の世界で「本当にやりたいこと」に出会い成長する、って映画。

作品全体に清々しい空気があって爽快。思春期特有のちょっと甘酸っぱい体験もしてブリスは成長してく。

ブリスの母親は、美人コンテストで優勝することだけが娘の幸せだと信じ込んでいる人で、ブリスとその妹に自分の価値観を押し付けている。いや、それも母親の愛情なんだけども……。

てか、母親ってこういうもんだよね。母親って子供との一体感が強くて、行き過ぎると子供を飲み込んでしまうことがある。で、そこで父親の出番なんだけど、ブリスの父親はいい距離感でブリスに接している。父親の鏡ですな。

その他にも、親友との喧嘩、はじめての恋など「青春の要素」勢揃い。ブリス役のエレン・ペイジ(Ellen Page)の潤んだ瞳と下がり眉毛がキュート。冴えない女子高生がたくましくなっていく過程が心地よく描かれています。

ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]
ポニーキャニオン (2010-12-15)
売り上げランキング: 14250

『主人公は僕だった』

主人公は僕だった コレクターズ・エディション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2007-12-19)
売り上げランキング: 63181

2006年アメリカ作品。
国税庁の会計捜査官のハロルドは几帳面な日常を送っている。歯磨きのブラッシングの数やバス停までの歩数などをカウントして決まった数になるように、といった感じの生活を毎日寸分たがわず送っていた。が、ある水曜日を境に「声」が聞こえるようになった……。

その「声」の主はハロルドを主人公にした小説を書いている「作者」なのだが……つまり、ハロルドは小説「内」の人物のはずなのに作者の声(地の文)が聞こえてしまい、それに戸惑う。そして「声」から死の宣告を告げられてしまう。

と、まあ、本来「メタ的存在」の作者とその小説内の登場人物が同一線上の世界に存在して「さあ大変」というお話。

キャストはハロルド役のウィル・フェレル(Will Ferrel)。ハロルドが想いをよせるアナ役のマギー・ギレンホール(Maggie Gyllenhaal)。ダスティン・ホフマン(Dastin Hoffman)やエマ・トンプソン(Emma Thompson)が脇を固めてまあ豪華! というか、ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンは演技だけで観てる者の目を釘付けにできる稀な存在ですなぁ。

内容はとてもよかったのですが、邦題がマズい。『主人公は僕だった』って……。原題『Stranger Than Fiction(小説は奇なり)』はとても内容にマッチしてて良いのに。このタイトルだとドタバタ・コメディだと思っちゃうなぁ。実際、ぼくはそう思ってたし。あと、ウィル・フェレルが主演てのもドタバタを想起させる要素だな。

実際はハートフル・コメディです。几帳面を演出するグラフィックもスタイリッシュでかっこよく、おもしろい。ウィル・フェレルの押さえた演技のコントも笑えました。

memo: 関数型プログラミング

まず、Cのポインタについて調べるとどうもメモリのことらしいので……

プログラムはなぜ動くのか 第2版 知っておきたいプログラムの基礎知識
矢沢久雄
日経ソフトウエア
売り上げランキング: 8402
 つまりはアセンブラ。この本は読んでおこう、いつか。


そして近頃のもうひとつの関心事、関数型プログラミング

代表的な言語に……
さて、どれにしよう? Rubyが「Matz LISP」と呼ばれるだけあって、LISPには見覚えある記述がちらほら。scalaという言語のwikiにもろRubyな記述も。

こんな記事もみつける。
JavaScriptの関数を「変数に代入できる」「 引数にできる」「無名にできる」の特徴はこのためにあったのか? Prototypeによる内部イテレータみたいな記述がある。関数型と関係あるのか? コルーチンとつながる。

関数型プログラミングを調べれば突き当たるラムダ計算

学びやすさでSchemeだろうか?

フィリップ、きみを愛してる!



2009年アメリカ・フランス映画。ジム・キャリー(Jim Carrey)、ユアン・マクレガー(Ewan MacGregor)主演。

天才詐欺師のスティーブンが刑務所で出会ったフィリップ・モリスに恋をし脱獄をくりかえすコメディ。二人はゲイです。これも実話らしいです。

一個前に観た「ニュースの天才」の主人公も「スティーブン」で「嘘つき」。これは偶然か? それとも神の啓示か? 啓示なら「嘘は罪だぞ」か? それとも「人生なんて嘘だらけさ」か? う〜む。

とりあえずユアンが出てくるまではジム・キャリーの独壇場。彼のコントが炸裂する。純粋に笑える。にしてもジム・キャリーてデカいんだな……。

そしてユアン・マクレガー演じるフィリップ・モリスがほんとキュートに見えてくる。「ま、まさか……オレの潜在に……そのケが!」と勘ぐりたくなるほど。

メインはスティーブンの破天荒な人生なんだが、これが実話とは驚き! 人間やってやれないことないな、と思わせる。

フィリップ、きみを愛してる! [DVD]
Happinet(SB)(D) (2010-11-04)
売り上げランキング: 1700

ニュースの天才

ニュースの天才 [DVD]
ニュースの天才 [DVD]
posted with amazlet at 11.05.02
ハピネット (2006-10-27)
売り上げランキング: 8751

2003年アメリカ映画。主演はアナキン・スカイウォーカー役で有名なヘンデン・クリステンセン(Hayden Christensen)。

あらすじは、アメリカの権威ある雑誌「THE NEW REPUBLIC」の記者スティーブン・グラスが起こした記事捏造事件を描いている。これは1998年に起きた実話。

「スティーブンは優秀な記者」→「取材先にだまされ嘘の記事を載せてしまう」→「が、実はそれはスティーブンの捏造だった!」と、一応、サスペンス調になってるが、帯に「27も事件を捏造した云々」と書いてあるのでそこはあまり重要じゃないみたい。

かといって、捏造の方法を描くクライム・ムービーでもない。

興味深いのはスティーブンが「なんで記事を捏造したのか?」てことを見過ごしちゃいそうなほどさらっと描いてるところ。明確に提示せず「暗示」的なので無意識レベルで訴えてくる。

観終わってからゆっくり分析すると、まずスティーブンが育ったハイランドパークという場所は保守的な田舎で、スティーブンの親は息子に弁護士になることを強要するような抑圧的な親だということが垣間見れる。

劇中、スティーブンはいつも周囲の人たちのご機嫌をとっている。そして、他人が怒っているかどうかを極端に気にして怯えている。これはスティーブンがつねにプレッシャーに晒された環境で育ってきたことを推測させる。

そして、彼が彼の母校で武勇伝を語るシーン。語りかけていたはずのたくさんの後輩たちは彼の幻想だったという場面は、虚言癖の人にある「空想をリアルに感じる」「空想を現実と混同する」という特徴をあらわしている。さらにピンチになったときに泣いたて駄々をこねて許してもらおうとするスティーブンの幼児性。

ここで推理。
彼の虚言癖は(たぶん)両親を喜ばせるために幼いころから習慣的にやってきたことなのではないか。スティーブンの親は厳格で折檻も日常的に行われていかもしれない。スティーブンは親に支配され、つねに親の目を気にしながら生活しなければならなかった。そして厳格な親を喜ばせるため自分が活躍した「嘘」をつきはじめた。人は誰しも多かれ少なかれ他人によく思われたいために嘘をついた経験を持っているだろう。いわゆる「虚勢を張る」というやつだ。スティーブンにとってそれが日常だったのだろう。その癖は社会に出て記者になったあとも変わらなかった。この事件はその悲劇(喜劇?)の結末だった。

演出のほうも結構しゃれてて、はじめ悪役として登場する新編集長のチャックとスティーブンが対称的にかつオーバーラップして描かれるラストは、二人の立場がクロスオーバーしていき印象的だった。

チャック役のピーター・サースガード(Peter Sarsgaard)が個人的によかった。